徒然なるままに 心に移りゆく いかがわしいことを 日々書き綴ります
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いつも心に雷獣を。
プロフィール

ぴの

Author:ぴの
現在は暁のヨナ、ハクヨナ中心。
歴史モノ、和服好き属性あり。
昔は幕末書いてた事もあり。
つーことで、銀魂も好き。
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黄昏時、夕陽が二人の横顔を照らして山の端に沈もうとしていた。真夏の熱を残した風が木々とふたりの頬を撫でては通り過ぎて行く。

ふいに会話が途切れた時、ヨナは意を決して、いつものように並んで座るハクの袖を掴んだ。

「ハク…」

ここまでどうするべきか、眠れないほど散々思い悩んだ。これまでの主と従者の関係を変えようとして、ハク自身に拒否されることをヨナは最も恐れていた。

だけどこれを逃したら、次の機会がいつまたあるのかわからない。言いたい事や伝えたい事を、いつでも当たり前のように伝えられるわけではない。変わらないものなんて何もない。身近にいる人もずっと側にいるとは限らない。それは城を出たあの日から、嫌と言うほど思い知った事だった。


だから……
だから、ハクは……
ハクだけは……


ヨナはハクの口唇にそっと口づけた。初めて触れるハクの口唇は驚くほど柔らかくて、そして温かかった。触れたのはほんの一瞬なのに、永遠に感じるほど長いような、それでいて離れるのが名残惜しいような、そんな気がして、思わず涙が出そうになる。

ハクは驚きのあまり、瞳孔が開いたような顔をしている。こんな突然時が止まったかのような、ハクの表情をヨナは初めて見たと思った。


なんだか、ハクが可愛い……。


「なん…で……?」

何が起きたのか理解ができずに固まっていたハクが、ひと言声を絞り出した。

「いつもおまえにこういう意地悪されたから、お返しね」
「姫さん…あんた……」
「少しはハクの気持ちに応えようと思ったの」

今までは自分へのハクの振る舞いを、ずっとハクの意地悪だと思っていた。面白がって、からかっているだけなんだと。だけど、ある時自分の気持ちの変化に気づいて、いつしか自分もハクを見つめていると折に触れ、ハクに触れたり口づけたくなる衝動に駆られた。それでやっと腑に落ちた。

ああ、そうか、ハクはきっとこれで自分に気持ちを伝えようとしていたのか、と…。でも、自分がその先に進むことを許さなかった。だから、ハクはそれ以上踏み込めなかったのだ。

「でもね、これは私の気持ちなの。もしも、ハクが少しでも嫌なら…苦しいなら、私は無理強いしたくない……」

今にも泣き出しそうな顔で必死にヨナは語り掛ける。そこまで聞いて、ハクは思わず噴き出した。

「あのな、姫さん。そういうのは男が女に言う台詞なんだよ」
「えっ? そうなの?」
ヨナは少し拍子抜けしたキョトンとした顔をする。
「俺の役目を奪らないで下さいますか? お姫様?」

ハクは言い置くとヨナの頬に触れ、改めてお返しの口付けを交わした。意識して二度目に触れるヨナの口唇の柔らかい感触は、まるで生まれて初めて女性に触れたときのような胸の高鳴りと少しの緊張をハクにもたらし、彼は珍しく頬を染めた。

「ハク、顔、真っ赤だ……」
「あんたのせいだよ……」

この姫はいつだって自分が越えられない壁を易々と越えて見せ、その度、俺は勝てなかった。

「俺はあんたを守りたいからここにいる。これまでも、これからもずっと、俺はあんたのものだ…」

今はそれ以上とても言葉にできない。溢れる想いも伝えたいことも、山ほどある。ハクは言葉にならない想いを籠めてヨナを引き寄せ、抱きしめた。

「ねえ、ハク…もし他に好きな人ができたら、ちゃんと言ってね?」
「こんな時に馬鹿かあんたは…俺は昔からずっと……」


あんたが好きでしたよ。


その言葉を耳にした瞬間、周りの音がすべて消えて、気付いたら涙がヨナの頬を伝っていた。

お互いに傷だらけで、周りは何もかも変わってしまった。それでも確かにいまヨナは、緋龍城で何不自由なく暮らしていた頃の初恋では得られなかった、愛する人に想いが通じる幸せを感じていた。

形あるものに確かなものなど何もない。でもここには確かな想いがある。最後の熱を残して山に落ちた夕陽の後には、藍に染まる空と薄桃色に輝く綿雲が残った。

宵を連れてくるひんやりとした、一陣の風が立つ。ヨナは乱れる髪を手で押さえると、ハクに寄り添った。

「ね、ハク。笑って?」
「え?」
「ハクがいつも側で笑ってくれるように私頑張るから、だから笑って?」
「へぇー。じゃあ面白い顔してみて下さいよ」
照れくささを隠すために、ハクはひとつの提案をしてみる。
「なによそれー」
「頑張るんでしょ? ほれほれ」
いたずらっぽくハクは涙の跡の残る、ヨナの頬をツンツンと指でつつく。
「もーーーー」

渋々ながらも生まれて初めて、ヨナは変顔というものをやってみた。

「ぶっひゃっひゃっひゃ!!」
「ちょっとハク! 笑いすぎよ!!」

ハクとヨナは抱き合いながら、しばらくぶりにふたり、顔をクシャクシャにして笑った。

「そろそろ戻らないと日も落ちたし、みんな心配するわね……」
「そうっすね……戻りましょうか」

本当はもう少し二人の時を過ごしたい。だけど、お互いの気持ちは通じ合えた。ここから先はゆっくりでいい。

どちらからともなく、手を繋いで歩き出す。この道がどんな未来に続いているかはわからない。でも、この手の温もりさえあれば、どんな苦難でも乗り越えれる。そんな気がする。ヨナが指を絡めると、ハクも応えて握り返した。

「あ、みんなにはこの話、しばらく内緒ね…」
「仰せのままに」
「もう、馬鹿……」



**********



image song by
Tender Touch / JYONGRI ←タイトルクリックで歌詞のページに飛びます。

この曲はイメージ曲というよりはメインタイトルであり、劇中歌です。曲流しながらこれ読みながら歌詞見たら、二倍悶えていただけると思います。今回本人歌唱の動画を見つけられなかった…(TдT)

ハクさん、はぴば!!色々おめでとう。
ささやかですが、こちらを管理人からのお祝いとして献上させていただきます。これ、ハクヨナ本編シリーズでうまく回収できたらいいんですが、別物として書いてしまったので、もしかしたら話が繋がらないかもしれない…(;´∀`)




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2015/08/09 00:19 ハクヨナ本編 TB(0) CM(0)
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