徒然なるままに 心に移りゆく いかがわしいことを 日々書き綴ります
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ぴの

Author:ぴの
現在は暁のヨナ、ハクヨナ中心。
歴史モノ、和服好き属性あり。
昔は幕末書いてた事もあり。
つーことで、銀魂も好き。
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かつての従者はその日、喪の装いで弔いの場所にいた。年が明けて間もなくの凍てつく寒さの中、従者の心は身体よりももっと、冷え切っていた。

なぜ……とか、どうすれば……とか、その場にいた大勢の人が一様にそう思っていただろう。だが、従者はそうした思考や悲しみの感情すら、己に感じることを拒否していた。従者は親の死に立ち会ってたった半月で、再び人を弔う場に立っていたのだ。

祭壇の中央に眠る人、それは主も従者もよく知る、仕事仲間だった。彼女はわずか二十三歳で自ら命を断ったのだ。その変わり果てた彼女を最初に発見したのもまた、仕事仲間の一人の男だった。

彼女と彼は、人目を忍ぶ恋仲だったのだと言う。多くの人は彼女を看取り、この弔いの最前列で参列者に頭を下げ、目に涙を浮かべる彼に、同情の気持ちを寄せていたようだ。

だがーーーー。
従者は、彼女を蝕んでいた心の病と、彼の不実を知っていた。

ああ、なんとやりきれない…。

俺は彼女との最後のやり取りを思い返していた。

「お父様はどうだった…?」
「親父は煙になりましたよ」
「その…あなたは大丈夫なの?」
「ええ、ご心配ありがとうございます。親父は俺を待ってたみたいで、俺が着いて十五分ほどで逝っちまいました」
「そっか…。そんな話を聞いてたら、あたしの方が涙出ちゃうわ」

そんなことを言って、彼女は俺よりも辛そうに涙ぐんでいた。

そしてその数日後に、彼女は自ら命を断った…。

俺が長年の病の果てに逝った親父のために着た喪の装束を、片付けもしないうちに、次に彼女のために着るとは一体誰が思うんだ。

仕事場で一報を知らされた俺は、申し合わせたかのようにすすり泣く、仕事仲間の女たちの場の空気に耐えられず、帰っていいかとひと言言い置き、その場から逃げ出した。

彼女は最期に病に呑まれたのか、彼の不実を嘆いたのか、それは分からない。それでも、棺の中に横たわる彼女の眠る顔は涅槃で安寧を得たようには、俺にはとても見えなかった。そして、彼女の年齢の三倍以上生きた、俺の親父よりも遥かに立派な彼女の弔いの祭壇は、彼女を慕い援助する人の多さを感じさせ、見るだけでより一層俺を居たたまれない気持ちにさせた。

ゆるやかに僧侶の読経が進む中、そこに現れたのはーーーー。
……会えるはずのない、かつての主だった。

誰かのために喪の装束に身を包む主を、その時俺は初めて見た。あの人は誰と言葉を交わすでもなく、ひとり、うつむき加減に立っていた。他の参列者と同じ黒を身に纏っているのに、あの人は相変わらず独特の雰囲気を醸し出し、ただそこに立っているだけで人の目を惹きつけていた。

あの人と離れ離れになってから、俺が初めて主にまみえたのが、この弔いの場だ。俺はふと、祭壇で眠る彼女が自分と主を引き合わせたのではないか、という気になった。俺が主に密かに寄せる思慕に、彼女は気付いていたようだったから。

それなのに、俺は主に声を掛けられなかった。いまは何をどう口に出しても、不謹慎でしかないような気がして、主の横顔をただ遠くから見つめることしかできなかった。

なあ、あんたは知ってたか? 俺があんたから離れる時、彼女が俺に、あんたの事好きなのか?って聞いてきた事…。

恋に破れた彼女が、はるか天上から再びまみえた従者と主を見て、何を思ったのか……従者には知る術もない。



**********

あー、ホントごめんなさい(>_<。)
ここまでドン底に暗い話にするつもりじゃなかったんです…。次回はラブを書きたいですね。




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2015/08/02 03:31 主と従者ss TB(0) CM(0)
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