徒然なるままに 心に移りゆく いかがわしいことを 日々書き綴ります
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ぴの

Author:ぴの
現在は暁のヨナ、ハクヨナ中心。
歴史モノ、和服好き属性あり。
昔は幕末書いてた事もあり。
つーことで、銀魂も好き。
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「あーー寒みぃ……」

この動作を一体何度繰り返しただろう。気休めに両手に息を吹きかけてみても、息が白く立ち上るだけで大した暖かさも感じやしない。時刻はもはや、23時を過ぎた。

俺の計画では今日という日は、こんな風に無残に終わる筈ではなかった。目の前の長机には忌々しくも売り物の発泡スチロールの箱が大小2つ、残されていた。

日頃賑やかな駅前に繋がるこの道も、この時間ともなると人通りはめっきり少ない。目の前の箱の中身は0時を過ぎると生ゴミでしかなくなる。そして生ゴミへのカウントダウンは非情にも今も刻一刻と進んでいく。

3日前から売って売って売りまくって、数時間前に諦めて値段も半額に下げて残りあと2つ。本当にこんな筈ではなかったんだ。

最終日の今日は早々にこの商品を売り切ってしまって、なんとかバイトを抜け出して姫さんに渡したいものがあったのに……。

なのに、あのクソジジイ。

ジジイが今日の分のブッシュ・ド・ノエルの発注の単位さえ間違えなければ、こんな事にはならなかった。パソコンの使い方がわからねえなら、余計な事をしでかす前に最初からそれこそ俺にさせろよ、クソジジイ。

挙句の果てに、
「売り捌くにはハクがオモテに出て、女の子に直接声を掛けるのが一番いいよ」

などという、他のバイトの奴らの意味の分からない押し付けで、今日は朝から店の外に長机を並べて、客引きをさせられる羽目になった。思うように商品が減って行ったのは昼間のうちだけ。

夜になる頃には不細工は客を引けず、居ても居なくても役に立たない、などと、勝手な言い訳をして、自称不細工を名乗るバイトがひとり減りふたり減り、残るバイトは俺ひとり。

こんなの顔とか関係あんのか……?
マジ納得いかねえ。

流石にこの時間に道行く人は、各々仕事帰りなのか、遊びの帰りなのか寒さに身を縮めながら、俺にもケーキにも目もくれずに足早に通り過ぎてゆく。

あー、はいはい。そりゃそうですよねえ……。こんな時間にケーキなんざ、もう要りませんよねえ。そのくらいは俺でもわかりますよ。

0時を過ぎて、このブッシュ・ド・ノエルが生ゴミに変わる時、同時に俺の全身真っ赤でモフモフのこの格好も哀れで場違いな扮装へと成り代わる。

「半額っすよ。いかがっすか?」

街はすでに祭りの後片付けモード一色だ。夕方頃には自分と同じサンタ服の売り子があちらこちらで客に声を掛けていたが、今はもう作業着姿で電飾やらツリーの撤去をして、駅前全体をクリスマスから正月に模様替えをしている人しか見当たらなくなっていた。

そこへフラリと1人の若い女が立ち止まって、声を掛けてくる。

「やだー、お兄さんまだケーキ売ってんの? かわいそーー」
「だろ? 可哀想だと思うなら、これ持って帰ってくんね?」
「残念~~、あたしパーティの帰りでもうお腹いっぱいーーー。でも、お兄さんなら、持って帰ってもいいよ」
「バーカ、そういうの要らねえから。買わねえんなら、さっさと帰れ」
「お兄さん冷たいーー」
「先に冷たくしたのはそっちだろ、お客サン」
「じゃあ買ったら家に来る?」
「イキマセン」
「名前教えてよ」
「あー? ケーキ売りのサンタだよ。見りゃ分かんだろ」
「サンタは名前じゃないでしょー」
「サンタの名前はサンタだろーが」

パーティの帰りだと言うその女は足元もフラフラとして、明らかに酒に酔っている。ああ、情けなくもついに冷やかしの酔っ払いにしか、相手にされなくなってしまったのだ。

はーー寒みぃ……。もう、そんな言葉しか出て来ない。こういう話どっかで聞いた事あるよな……。なんだっけ……? マッチ売りの少女…だっけ……?? マッチには売れなくても期限がないが、このケーキは0時になると生ゴミになる期限がついた時限爆弾だけに更にタチが悪い。

この見た目モフモフとしたサンタ服も、店の中だと無駄に暑苦しいが、外に立つと防寒機能が全くついていないのも悪質だった。こんなものを着て仕事をしようと最初に思い付いた、サンタのおっさんはとても正気とは思えない。

考えてみれば、俺じゃなくてムンドクのジジイがやれば良かったんじゃねえのかこの格好。だいたいジジイのせいでこんな事になったんだし、見た目からしてそのまんまで、よく似合うじゃねえか。

……しばらく酔っ払いの女と望みもしねえ漫才みたいなやり取りをしていると、ようやく諦めたのか女は去って行った。しかもあれだけ絡んで来ておいて、箱は1つも減りはしなかった。




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2016/02/06 03:25 その他ヨナss TB(-) CM(0)
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