徒然なるままに 心に移りゆく いかがわしいことを 日々書き綴ります
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いつも心に雷獣を。
プロフィール

ぴの

Author:ぴの
現在は暁のヨナ、ハクヨナ中心。
歴史モノ、和服好き属性あり。
昔は幕末書いてた事もあり。
つーことで、銀魂も好き。
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焚き火の前で暖を取っていたハクに、やって来たユンは何かを差し出した。

「はい、これ。雷獣にも配給ね」
「ん? 大福??」
「そ。お雑煮に入れた白玉の生地の残りに餡を包んでみた。貴重品だから、ひとり一個ずつだからね」
「ほーー、さすが母ちゃん」
「生んだ覚えはないよ。お正月だし、感謝してよね」
「酒があればもっと良かった」
「贅沢言うな!」
「サーセン」
「冷えて固くなる前に食べちゃってよ。後のみんなにも配ってくる」
「へいへい」

他の具材は狩猟や採集で何とかなったが、あまりの金欠で餅が手に入らず、それでもどうにか食卓に正月らしさを出そうと唯一物々交換で手に入れた米粉を白玉にして、雑煮を作ってのけたユンは母親の鑑だ。その残りを大福にしたのだと言うのだから、器用さに感心する。

「こんな事、前にもあったな……」

俺の掌に正月用の大福を乗せて、俺を餌付けしようとした人が過去にいた。それは雪の降りしきる凍えるような元旦で、ちょうど丸めた雪の玉のような大福だった。

「ハク、新年おめでとう。今年もヨナをよろしく頼むよ」

その人はごく当たり前のように、ぽよんと笑うと、 俺の肩を叩いてそう言った。それでは俺がよろしく頼まれるのは、姫さんだけでいいかのような口ぶりだ。

この人はいつもそうだ。自分の事はいつも後回しで、たぶん本当に自分の事を今年もよろしくという気持ちは一切持たずに、俺にこう言ったんだと思う。

相変わらず我が主は緩い。その時はその程度に思って、ちょっと苦笑すると、いつもの饅頭の代わりに正月用の大福を乗せられた手をありがたく引っ込めた。まさか、それがイル陛下との最後の正月になるなんて、思いもせずに。

『今年もヨナをよろしく頼むよ』

その声はまるでついさっき聞いたように、今もはっきりと耳に残っている。人生なんてどこでどうなるかわからないものだ。

俺は元々孤児だし、武人でもあるしいつか何かのきっかけで、地位や命を失う事はあるかもしれないと心の何処かで思っていた。平和と安寧を願いつつも、平和などという言葉自体が、どこか幻想であるような気がしていた。

だけど俺ではなく、ヨナ姫が城を追われてその地位を失うなどとは考えた事もなかったし、城の外で泥にまみれて立ち働くヨナ姫を見るような未来なんて有り得なかった。

今もどこかで俺らを見ておいでか? イル陛下。姫さんは、逞しくなり過ぎて陛下の知っている『ヨナ姫』とは随分変わってしまったかもしれない。けれど、あなたの御息女はあなたの遺した高華国を、自分の足で歩いて良くしたいと懸命だ。

俺以外にも姫さんを守ろうとする奴らも出てきた。もしかしたら専属護衛としての俺の役目は、とうの昔に終わっているのかもしれない。それでも、俺は見てみたいと思う。逞しくなった姫さんが何かを成し遂げるのを。俺がいつまで側にいられるのかは、わからないけど……。

ひと口齧ってみたユンの大福は、高価な材料を惜しげもなく使って作られたはずのあの時の大福よりも遥かに美味かった。

ユン……ますます料理、上手くなったな。

過ぎ去りし凍てつく雪の元日と真逆の、焚き火のぬくもりの中、澄み渡った星空を見上げると、ハクは新しい年の始まりを思った。




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2016/01/07 04:46 ヨナss TB(-) CM(6)
コメント
城時代好きなのです♪ こういう何気ない日常の一コマ良いですね。
ハクのイル陛下への想いは浅くないですよね。青龍編でヨナ達が閉じ込められた時、イル陛下に「連れて行かないでくれ」って呼びかけるシーンとか大好きです。
しかし、饅頭とかビワとか王族から餌付けされる事が多いな。ハク(笑)
2016/01/10 20:08 prin URL [ 編集 ]
ほのぼのしててまったりとした正月って感じが素敵です\(^-^)/

お久し振りにコメントです笑
今年もよろしくお願いいたします‼

また更新を楽しみに本年も頑張って行きまーす♡
2016/01/10 23:48 すいま URL [ 編集 ]
Re: prinさん
作中にちゃんと書けてないんですが、私はイル陛下が緋龍城でハクの後ろ盾をしてやったような感じが凄くするんですよね…。イル陛下って立場上、本当は男の子が欲しかっただろうと思うので、ハクみたいな絵に描いたような威勢のいいヤンチャ坊主は理想だったんじゃないかな…と。
だから、イクスがユンに「世界を見ておいで」って言ったように、ハクはじっちゃんと陛下にたくさん見せられた世界があったんじゃないかな、と思うわけです…(なぜかしんみりしちゃった…)
2016/01/12 23:23 ぴの URL [ 編集 ]
Re: すいまさん。
こちらこそ今年もよろしくお願いします。去年に比べるとどうしても、仕事の都合上更新が遅くなると思うのですが気長にお待ちいただけると幸いです。この先話が進むと、どんどん恋愛要素は酸っぱくなります(笑) 頑張れハク、生きろハク…(^_^;)
2016/01/12 23:27 ぴの URL [ 編集 ]
あ、なるほど~。後ろ盾というのは確かに。
そもそも部族長を姫の専属護衛にって相当無理な人事ですし、それを押し通したのですから、王のバックアップはあってしかるべきかもしれませんね。公ではないにしろ。
スウォン・グンテ将軍・ジェハにヨナ。ハクを「欲しい」と言う人は数知れず(笑)どこいっても引く手数多な有望株ですよね。

明日から入院なのですが、私のヘタレ携帯ではどうもネットは厳しそうです。ちょっと前は見られたのに、先日携帯から見ようとしたら「技術的な問題でコード変換ができない云々」と表示が出て見られず、何度か試したけどダメでした。無念・・・(T_T)
かっこいいセコムハクに癒してもらう予定でしたが、退院後のお楽しみといたします。くそ~、頑張って早く退院してやるっ!
2016/01/13 01:18 prin URL [ 編集 ]
Re: prinさん。
ハクには血縁がいないので、風牙で将軍やるんではなく、宮中で宮廷政治をやるんなら陛下の庇護は絶対必須だと思いますね。地盤がないですから。

なんと!明日から入院とはつゆ知らず…。ええと…そんなprinさんにせめてもの激励に裏技を伝授します。たぶん見れます。ケータイからブクマとかで直接ココを見てエラー出るんですよね? 一度Googleを挟んでみて下さい。Googleをまず出して、Googleでココのサイト名を検索してアクセスしてみて下さい。恐らく見れるはずです。この返信が入院されるまでに届く事を祈りつつ(*>_<*)ノ
2016/01/13 03:02 ぴの URL [ 編集 ]















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